遺言書がある場合とない場合の不動産相続の違いとは?

不動産の相続において、遺言書の有無は相続手続きのスムーズさや相続人間のトラブルの発生リスクに大きく影響します。
遺言書がある場合とない場合で、どのような違いが生じるのか詳しく解説します。

🔍 遺言書がある場合の不動産相続

① 遺言書の内容が優先される

被相続人(亡くなった方)が遺言書を作成していた場合、基本的には遺言の内容が最優先されます。

💡 例えば…

  • 「長男に自宅を相続させる」と記載されていれば、そのまま長男が取得できる。
  • 「自宅を売却し、売却代金を子ども3人で分配する」と書かれていれば、それに従って売却する。

遺言書の内容が明確であれば、相続人同士の話し合いを省略でき、スムーズに相続手続きが進みます。

② 遺産分割協議が不要

遺言書がある場合、基本的に相続人全員での話し合い(遺産分割協議)は不要です。
遺言書に従って相続登記を行うことで、不動産の名義変更ができます。

📝 必要な手続き

  • 遺言書の検認(公正証書遺言の場合は不要)
  • 遺言執行者が指定されている場合、その指示に従う
  • 遺言内容に基づいた名義変更(相続登記)

💡 ポイント
→ 遺言書があることで、手続きの手間が減り、相続争いも回避しやすい

③ 遺言書の種類によっては検認が必要

遺言書には公正証書遺言自筆証書遺言があります。

遺言の種類特徴検認の必要性
公正証書遺言公証役場で作成し、紛失・偽造のリスクがない不要
自筆証書遺言本人が手書きで作成、保管が自己管理必要(法務局保管なら不要)

自筆証書遺言がある場合、家庭裁判所で「検認」を受けないと相続手続きが進められません。

💡 ポイント
公正証書遺言ならスムーズ! 自筆証書遺言は検認手続きが必要になることを考慮すべき。

④ 遺留分侵害請求の可能性

遺言書に「長男に全財産を相続させる」と書かれていても、他の相続人には遺留分という最低限の相続権が認められています。
遺留分を侵害された相続人は、他の相続人に対して遺留分侵害額請求を行うことが可能です。

💡 遺留分の割合

  • 直系尊属のみが相続人 → 被相続人の財産の1/3
  • 兄弟姉妹以外の相続人がいる場合 → 被相続人の財産の1/2

🚫 遺言書がない場合の不動産相続

① 法定相続分で相続する

遺言書がない場合、法律で定められた「法定相続分」に従って不動産を分けることになります。

📝 法定相続分の割合(例:相続人が配偶者と子どもの場合)

相続人法定相続分
配偶者1/2
子ども1/2(子どもが複数いる場合は均等に分割)

不動産は現金のように簡単に分割できないため、遺産分割協議が必要になります。

② 遺産分割協議が必要

遺言書がない場合、相続人全員で「不動産を誰が相続するか」を話し合う必要があります。
話し合いがまとまらないと、不動産を売却して現金で分配する換価分割を検討することになります。

💡 協議の進め方

  • 不動産を1人が相続し、他の相続人に代償金を支払う(代償分割)
  • 不動産を売却し、売却益を相続人で分ける(換価分割)
  • 不動産を共有名義にする(共有分割)

⚠️ 共有名義はトラブルのもと!
共有名義にすると、売却時や管理で意見が割れ、トラブルになることが多いです。

③ 相続登記の手続きが複雑になる

遺言書がないと、以下の手続きが必要になります。

  1. 相続人の確定(戸籍謄本を取得して相続人を特定)
  2. 遺産分割協議の実施
  3. 相続人全員の合意を得て登記申請

相続人が多い場合、意見がまとまらず手続きが長期化することも…。

④ トラブルのリスクが高まる

遺言書がないと、相続人同士で意見が対立するケースが多くなります。

💡 よくある相続トラブル

  • 「長男が家を相続したいが、次男が売却を主張して揉める」
  • 「共有名義にしたが、売却の際に1人が反対して売れない」
  • 「遠方に住む相続人が協議に参加せず、手続きが進まない」

トラブルを防ぐためにも、生前に遺言書を準備しておくことが重要です。

📌 まとめ:遺言書の有無で相続の負担が大きく変わる!

項目遺言書あり遺言書なし
遺産分割協議不要(遺言書通りに分配)必要(相続人全員で話し合い)
相続登記の手続きスムーズに進む手続きが複雑になりやすい
トラブルのリスク低い高い(意見の対立が起こりやすい)
手続きにかかる時間短い長引く可能性あり

「相続トラブルを避けたい」「スムーズに相続したい」と考えている方は、生前に遺言書を作成しておくことをおすすめします。

特に不動産は分割が難しい財産のため、遺言書があるかどうかで相続の負担が大きく変わります。
スムーズな相続を実現するためにも、早めに対策を考えましょう!

墨田区をはじめ、東京・神奈川・千葉・埼玉で不動産売却をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。