おしどり贈与とは?

「おしどり贈与」とは、正式には「贈与税の配偶者控除」と呼ばれる制度で、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産またはその取得資金を贈与する際、贈与税の基礎控除110万円に加えて、最高2,000万円までが非課税となる特例です。

おしどり贈与の適用要件

この特例を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります:

  1. 婚姻期間が20年以上:​贈与を行う時点で、夫婦の婚姻期間が20年以上であること。​
  2. 居住用不動産またはその取得資金の贈与:​贈与の対象が、配偶者が住むための住宅やその購入資金であること。​
  3. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住開始:​贈与を受けた配偶者が、贈与された不動産に翌年3月15日までに居住し、その後も引き続き居住する見込みであること。

おしどり贈与のメリット

  1. 贈与税の非課税枠の拡大:​基礎控除110万円に加え、最大2,000万円までの贈与が非課税となり、合計2,110万円まで贈与税がかからない。
  2. 相続財産の圧縮:​生前に財産を配偶者に移転することで、将来の相続財産を減らし、相続税の軽減が期待できる。 ​
  3. 生前贈与加算の対象外:​通常、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算されるが、おしどり贈与はこの対象外となる。 ​

おしどり贈与のデメリットと注意点

  1. 一度限りの適用:​同一の配偶者間での適用は一度のみ。再婚して新たな配偶者と20年以上婚姻した場合は再度適用可能。
  2. 登記費用や税金の負担:​贈与に伴う不動産取得税や登録免許税などの費用が発生する。 ​
  3. 二次相続の考慮:​配偶者が先に亡くなった場合、贈与された財産が再度相続の対象となり、結果的に相続税が増加する可能性がある。 ​
  4. 小規模宅地等の特例との比較:​相続時に適用できる小規模宅地等の特例(自宅の敷地評価額を80%減額)と比較し、どちらが有利か検討が必要。

まとめ

おしどり贈与は、婚姻期間が20年以上の夫婦にとって有効な相続税対策の一つです。しかし、適用要件やメリット・デメリットを十分に理解し、他の特例や将来の相続も考慮した上で活用することが重要です。具体的な適用については、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。